稲本英
2005.7.4. 六・七段目追加
呼吸するごと/細胞が緩む/潮風だ/ここが/私の育った町なんだ 祭支度をする/男たちの/背は/秋空の/ひろさだ 夏空に/戯れた後の/残照/浴衣のくずれに/ほろり零れる
越えたい壁は/いくつもある/さぁ/どれから/ぶち壊そう 生理がくると/ほっとするような/さみしいような/女の複雑を/男は知らない もう/底か/ならば/その足で/蹴り壊せ
抱き合う/時間の短さに/反比例してゆく/夜の深さと/愛しさと なにげなく/煙草をくゆらす/その仕草も/きみの指先は/旋律を語る 云えば/負けてしまうようで/でも伝えたくて/君の耳朶を/咬んでいる
時刻表どおりに/こないバスに/不安になる/間違いは私/ではないのか、と あわせてもあわせても/ズレてゆく/時計のような日々だった/それでも/愛しかった 私も/うれしい/この旅が/君の宝物に/なるのなら
まだ/結果だ/ここが/結末/ではない やわらかな/波を/うつ/管楽器の織りなす/天蓋 洗い流せる傷など/ないのだろうが/どこかの空は/今日もたぶん/青い
恋情が/炙りだす/嫉妬という/美しい/焔のゆらめき 自分との闘いは/納得いくまでの/自虐だ/その果てに/決意がある 彼女(だれか)を抱く/その腕は/やさしいのだろう/私の知ることのない/感触で
融合の/うつくしさ/新しい世界は/そうやって/うまれる まだ/知らないままでいた/本当の「青」の/深さも 広さも/猛々しさも 私を像づくるものを/みた/幼い冬だった/それは父の/白い骨